アホのめぐみ

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居酒屋ののりで騒いだけど、高級ホテルのフルコースだった。

 
 
 
 
 
その日は私と子供達が来ていたので、父と母は奮発してホテルのフルコースディナーに連れていってくれました。
 
 
その店は、ファミレスや居酒屋と全く違っていました。
居酒屋では、料理名と値段を書いてある紙を壁に貼ってくれてるのに、そこは貼ってくれてなかったのです。
ドリンクバーもありませんでした。
またお客さんたちはよそ行きの服を着て座っていました。
 
 
それと、黒い服を着たお店の人が、
 
「静粛にしていてください。」と見張ってるようでした。
 
 
 
 
 
それに焼き鳥とか焼きそばなどを注文したら、
 
店の人「申し訳ありません、うちのメニューにはございません。」と言われそうでした。
 
 
 
 
 
 
私「あかん!無理やわ、こんなとこ。
 
なんでこんな窮屈な思いしてまで、喰わなあかんのや!おかしいやろ、ふつう!
 
なあ?」
 
 
 
弟「そうやて、おねえー、ここから脱出して居酒屋に行かんか?」
 
 
私「私、ガストがいい。
 
ドリンクバーがある方がいいで。」
 
 
 
 
でも、父と母に悪いので、弟と私は座っていました。
 
 
 
やがて、でかい皿に少しの食べ物が運ばれてきました。
 
少したって、またでかい皿に少しのサラダが運ばれてきました。
 
 
それをつまみに私と弟は居酒屋ののりでビールやワインを一気に飲み始めたのです。
 
 
 
 
 
 
弟「大きい皿やに何でこんなちょびっとなんや。
 
大きい皿で持ってくるで、期待するやないか!
 
何で期待させといて裏切るんや。
 
ポリシーっていうもんがないんか!
 
おねーもそう思うやろ?ふつう。」
 
 
 
 
 
私「お前もそう思っとったんか!
 
これが詐欺商法っていうんじゃ。
 
それにこんなちょびっとずつやなく、大きい皿に全部持ってきてくれればええと思わん?
 
だって、次に何食べるかなんか、客が決めることやろ!これ常識や!
 
向こうが決めるのはおかしいやろ!ふつう。
 
テンパー(弟)、店の奴に言いな。
 
全部いっぺんに持って来いって。」
 
 
 
 
 
そこで弟が店の人に聞こえるように大声で言いました。
 
 
 
 
 
弟「こんなちょびっとずつやなく、大きい皿に全部いっぺんに盛り付けて持って来てまえん?
 
そうすれば簡単やし皿もそんなに洗わんでよくなるよー
!」
 
 
 
 
 
 
お客さんたちが一斉にこっちを見ました。
 
 
 
 
 
家族は私と弟とは他人だというふりをして、すまして食べていました。
 
 
 
 
 
 
意に反してスープが運ばれてきました。
 
 
 
 
私「なんじゃこりゃ!」
 
弟「なんじゃこりゃ!」
 
 
 
 
私「こんなもんつまみにならんやろ。」
 
 
弟「そうやな。
 
こんなもんせめて飲み終わった頃に出さなあかんやろ。」
 
 
 
私「私、こんなもんいらん。」
 
 
弟「僕もビールいっぱい飲みたいでこんなもん飲まん。」
 
 
 
 
私と弟はみんなに向かって大声で、
 
私「私、スープいらんで誰か飲まん?」
弟「ビール飲むで誰かスープ飲まん?」
 
 
 
 
また、お客さんたちが一斉にこちらを見ました。
 
 
 
家族たちはうつむいて、ただ顔を横に振っているだけでした。
 
 
 
 
 
また皿ばかりに見える食べものが運ばれてきました。
 
私「テンパーの言うことを無視しおったんや!
 
はっらたつな~!聞こえんふりして。
 
なあ?」
 
 
 
 
そこでが店の人に聞こえるように大声で言いました。
 
弟「だ~か~ら~!
 
こんなちょびっとずつやなく、
 
大きい皿に全部いっぺんに持って来て!」
 
 
 
 
 
しかし、店の人はまた皿ばかりの食べ物を持ってきたのです。
 
 
弟は「(ヤバい!)」と思いました。
 
 
弟「(僕の嫌いなブロッコリー入っとる。あかん!前にジジババ座っとるで喰わなあかん!どないしよう!)」
 
 
そこで弟は、いい事を思いつきいたのでした。席を立ち、ブロッコリーを子供たち(肉子とノコ)の皿に次々と分けいれ、
 
 
 
弟「ブロッコリーちゃんと食べなあかんぞ、いっぱい食べな栄養のバランスとれんで」と言いました。いつも自分が父と母に言われてるセリフです。
 
 
 
 
 
横道にそれますが、父は道徳にうるさい人だったので、私と弟に、徳を積むことを教えたり、感謝をすることを教えたり、目上の人を敬えと教えました。
 
※徳(toku)を積むとは、善行を行うということ。天の蔵に貯金をしていると言う事。
 
 
 
 
例えば、私や弟が子供のころ、カレーライスに肉が入っていたら、
 
 
父「肉は子供は食べたらあかん!
お父さんのところに出しなさい。
徳を積まなあかんで子供の時分から肉なんか食べたらあかん。
お父さんが食べたるでな。」
 
 
結局父は肉をたくさん食べたいがために道徳を教えたのです。
 
 
しょっちゅう言われる「徳を積む」の意味が私も弟も全く理解できなくて、「肉を積む」と「徳を積む」はどこが違うのだろう?と思っていました。
 
 
 
 
 
 
話をホテルのディナーに戻します。
 
 
次に出てきた皿には、弟の好きなポテトサラダがありました。
だから弟は父を見習って、
 
 
 
 
弟「あかん、あかん!子供のうちからこんなうめえもん喰ったら徳失う。
 
お父さん(弟)とこによこしゃあ、徳積むことになるでー!」
 
 
 
弟はまた席を立って、子供達全員(肉子、ノコ、私の娘、息子)の皿からポテトサラダを自分の皿に積み上て、徳を積みました。
 
 
 
 
 
肉子「お父さん、徳を積むってどういう意味?」
 
 
 
弟「そりゃあ、好きなもんを積んでお得(toku)にすることや。
 
つまり安くてうまいもんが、いっぱい喰えることや。」
 
 
 
 
肉子「ふーん、そうなんや」やけに納得していました。
 
 
 
 
 
弟は自分の分も含めてポテトサラダを5個も積んでいたので、テーブルの上に落ちてしまいましたが、弟は当然のごとく、テーブルから直接食ベていました。
 
 
フォークですくうのですが、期待した量が食べれません。
なぜなら、皿のようにつっかえがないので、ポテトサラダが先のほうへ先のほうにと逃げるのです。
しかも、テーブルクロスにくっついてしまった分は食べれません。
 
 
 
弟「(今来た道を戻らなあかん、ポテトサラダのついた上を移動せな。)」
 
 
 
夢中でやってたので、途中コップが倒れたのも気づきません。
 
 
 
そして、ついに皿に到達したので、皿の上にあった2つのポテトサラダをテーブルクロスに落とし、移動中のポテトサラダと合体させて、テーブルの端の方に進み続けました。
そして、テーブルのふちに着いたのでテーブルクロスの下に手を入れて、直接口で食べきりました。
 
 
 
 
「勝った~!」といわんばかりの満足した笑顔でしたが、テーブルクロスはポテトサラダとビールで汚れていました。
 
 
 
 
 
みんなは弟とは他人だというふりをして、ずっとすまして食べていました。
 
 
 
ノコ「お父さんから英語取ったら何にも残らんね!」
 
(弟は英語塾の先生・英検1級・通訳の難関国家試験合格者)
 
 
 
 
 
私や弟が、父の事をそんなふうに言ったら、
 
 
父「なんてこと言うんじゃー!年上の者を敬わなあかん!親には育ててもらっとるんやで感謝せなあかん!」
 
 
と絶対に怒鳴ったはずなのに、弟に言われたとなると話が違います。自分が嫌な気にならないので、道徳なんかどうでもいいんです。
 
 
 
 
だから、一斉にうなずきながら、こう言いました。
 
 
 
 
父「そやそやそうやそうや、ホントに何にも残らんわなあ。」
 
 
 
母「そ~かね~?そうやねぇ~!どういうことやろね~?」
 
 
 
みつ(奥さん)「そうやね~!いいところもあるけどね。あ~んまり残らんかもね。」
 
 
 
肉子「そやそやそうやそうや、まった~く残らんわ。」
 
 
 
 
 
 
 
娘「ノコちゃん、そんなこと言ったらテンパー傷つかない?」
 
 
ノコ「大丈夫、うちのお父さん何言われても傷つかんてー!」
 
 
 
 
 
 
みんなの話を聞いて、弟がぽつりと言いました。
 
弟「店の奴ずーっと、僕の事見とった。
 
あいつもポテトサラダ喰いたかったんやろな~!」
 
 
 
 
 
 
今度はゆず入りのアイスクリームが出てきました。
 
この頃になると私も弟も完全に酔っぱらっていました。
 
 
 
 
私「げー!まずいッ!こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!なあ、テンパー」
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー」
 
 
 
私「こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!なあ、テンパー」
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
私「こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!なあ、テンパー」
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
私「ねえ、聞いとる?こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!なあ、テンパー」
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
 
私の声がだんだん大きくなりました。
 
 
 
みんなは相変わらず私と弟とは他人だ、というふりをしてすまして食べています。
 
 
 
私「だから、こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!
 
なあ、テンパー!!
 
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
私「おい、聞こえんのか?
 
こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!
 
なあ!テンパー!!!」
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
私「だから、言っとるやろ!こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええー!!
 
なあ!テンパー!!!」
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
私「おい、聞けよ!聞けって言っとるやろ!
 
こんなやつよりガリガリ君ソーダ味のほうがええー!!なあ!テンパー!!!」
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
私「ふざけろ、いい加減聞けよ!
 
こんなーや~つよりガリガリ君のソーダ味のほうがええーっ!!
 
なあ!テンパー!!!」
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
 
 
この辺になると私は叫んでいました。
 
 
 
店の人「申し訳ございませんが、他のお客様のご迷惑になりますので、お静かに願えますでしょうか?」
 
 
 
 
 
 
 
無視!
 
 
 
 
 
家族は他人だというふりをしているので、
 
 
 
完全無視!
 
 
 
 
 
 
 
 
私「おい、人の話は聞かなあかんっていつも言っとるやろ!聞けーッ!
 
 
 
 
こんな~や~つ~よ~り、ガリガリ君のソーダ味のほうがええー!!
 
 
なあー!テンパーッ!!!」
 
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
 
 
 
私「おい、おまえホントは聞こえとるんやろ、ちゃんと答えんかい!こらー!!!
 
 
 
 
 
こんな~や~つ~よ~り、ガリガリ君のソーダ味のほうがええーっ!
 
 
なあーっ!テンパーーッ!!!」
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
 
 
私「ふざけろ、おまえちゃんと答える気あるのか!マジ切れするぞ!答えろー!!!
 
 
 
 
 
こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええーっ!
 
 
なあーっ!テンパーーッ!!! 」
 
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
 
 
 
私「ちゃんと聞け!
 
おい、なんで答えんのやー!
 
ぶん殴ったろか、このやろう!!!
 
 
 
 
 
こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええーっ!
 
 
なあーっ!テンパーーッ!!! 」
 
弟「ビールもうないんやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
 
 
私「おい、聞け!いい加減にしろ!
 
私をバカにしとるんか!
 
おまえ何考えとるんじゃ!
 
このバカたれが!!!
 
 
 
 
 
 
こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええーーっ!
 
 
なあー、なあー!
 
 
 
テンパーーッ!!!」
 
 
弟「ビールもうないやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
 
 
私「いい加減にしろー!
 
 
答えんかてめー!
 
なめとんのかちくしょー!!!
 
 
どつくぞ、 このバカたれめがー!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
こんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええーーっ!
 
 
 
なあー、なあー!
 
 
 
 
テンパーーあッ!!! 」
 
 
 
弟「ビールもうないやけど注文してもいい?おねー 」
 
 
 
 
 
 
 
 
しばらくして、弟を見たら泥酔していたので帰ることにしました。
 
 
 
 
弟は みつの車に乗るはずでしたが、足がふらついて、車までなかなかたどりつけなかったので、みつはこれ幸いにと、弟を乗せずに発車しました。
 
 
 
その車の後を、弟が両手を大きく回しながら追いかけ、
 
 
弟「みつちゃ~ん!お願い僕も乗せて~!」
 
弟「みつちゃ~ん!お願い僕も乗せて~!」
 
弟「みつちゃ~ん!お願い僕も乗せて~!」
 
弟「みつちゃ~ん!お願い僕も乗せて~!」
 
弟「みつちゃ~ん!お願い僕も乗せて~!」
 
弟  「みつちゃ~ん!お願い僕も乗せて~!」
 
 
 
と何度も叫びましたが、祈りは通じませんでしました。
 
 
 
 
 
私はというと父の車に乗せてもらうはずでしたが乗車拒否されてしまったので、弟と二人歩いて帰えりました。
 
 
 
 
 
私「あんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!なあ、テンパー」
 
弟「ビールもっと飲みたいんやけど、コンビニ寄ってもいい?おねー 」
 
 
 
 
私「あんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!なあ、テンパー」
 
弟「ビールもっと飲みたいんやけど、コンビニ寄ってもいい?おねー 」
 
 
 
 
私「あんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!なあ、テンパー」
 
弟「ビールもっと飲みたいんやけど、コンビニ寄ってもいい?おねー 」
 
 
私「あんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!なあ、テンパー」
 
弟「ビールもっと飲みたいんやけど、コンビニ寄ってもいい?おねー 」
 
 
 
 
私「あんなやつよりガリガリ君のソーダ味のほうがええ!なあ、テンパー」
 
弟「ビールもっと飲みたいんやけど、コンビニ寄ってもいい?おねー 」
 
 
 
延々と議論を交わしたのです。
 
 
 
 
 
 
 
ご馳走してくれたおじいちゃん(父)とおばあちゃん(母)には悪いけど、ホテルのディナーより、松家の牛丼の方が徳が積める、と息子 は思ったそうです。
 
 
 
 
 
 
《まとめ》
 
※徳(toku)を積むとは、善行を行うということ。天の蔵に貯金をしていると言う事。
 
※お得(toku)とは、利益が得られること。有利であること。儲かること。値打ち。
 
 
「徳」と「得」は同じ発音( toku)でも意味が違います。弟 と父は意味を反対にして理解しているようです。   
 
 
 
 
 
 
※私と弟 のもう一つの顔を「受験生へ、愛をこめて」で描きました。是非お読みください。