弟が高校生の時、風邪をひいて高熱を出し、下痢もしました。
何を勘違いしたのか弟は、部屋の温度を測る温度計で体温を計っていました。それは40センチくらいの木の板でできた長方形のものでした。
水を飲みたがる弟に父は、
父「熱があるし下痢しとるで何も飲んだらあかん、ひどなるで。」
と体を温め続けて、いっさい水分を与えませんでした。(危険ですからまねしないでね)
するとみるみるうちに弟は衰弱。全く熱もひかないため入院しました。たぶん熱中症だったと思います。
弟は、点滴をしたらすぐに良くなりました。
翌日から看護師さんが点滴をしに来る度に、屋上などに逃げていたほど元気になったのです。
そして友達もできました。長い間入院している同室の子です。
その子は点滴が必須だというのに、いつも弟とつるんで逃げていました。
だから何人もの看護師さんが駆けずり回って探していました。 そして疲れ果てていました。
母が笑って、
母「あのこ、いつも点滴になると逃げるんやよ。またおらんわ。
いつも友達誘って逃げとるよ。今度はどこに逃げたやろ?
なんか楽しそうやね。」
看護師さんたち「あかん、あの子らまたおらへん。
テンパー(弟)君がくるまでは平和やったのに。」
でもその子は友達ができた事、それと一緒に逃げる遊びをしていたからか、とても楽しそうで元気に見えました。
ある日、私が弟のお見舞いに行った時の事です。
同室に肝硬変で入院していたおじさんがいたのですが、彼はたまたま浣腸をしていて最悪でした。
そのあまりのたまらない臭いに、私は弟とその子と一緒に逃げ出しました。逃げる楽しさを味わいました。
弟の入院中、毎日のように母方のおじいちゃんがバスを乗り継いで来ていました。
しかし、これではまるで看病する意味がありません。
おじいちゃんより弟の方が元気だからです。
弟はすぐに退院することが出来ました。
浣腸おじさんの奥さんは「うちより後に入院したのに先に退院するなんて!」と怒っていました。
そしてすぐに、弟のベッドはふさがっのです。
寝ていたのはおじいちゃんでした。
おじいいちゃんは逃げることができません。
しっかり点滴をされていました。