息子と娘が通っていた中学は、みんな仲良しでした。
国語の先生は50歳くらいの、いつもにこにこしていた「まさお」でした。
面と向かっては「先生」と呼んでいましたが、陰ではみんな「まさお」と言っていました。
そのまさおが国語時間に教科書を読みました。
そして黒板にそれを書いたら、みんなに大笑いされました。
書いてあったのは、
「咲いて タンポポ
ふまれて タンポン」
娘は学年でトップクラスでした。友達のことちゃんは上の方でした。2人とも成績が良かったのです。
娘が卒業して息子とことちゃんの弟が入学し、担任はまさおになりました。
まさおはどうやら弟たちも優秀なはず、と勝手に決めこんでいたみたいです。
何か月かして、まさおの行きつけのものすごく安い大衆居酒屋の前で、娘たちはまさおと出会いました。
まさお
「お前らの弟、あっほや~!(笑)」
息子の三者面談の時、私とまさおは意気投合して卒業した娘の話で盛り上がったり、私は成績とまったく関係のない息子の自慢話ばかりしていたのです。
次の三者面談も居酒屋ののりで、今度はまさおの自慢話でした。やっぱり息子の成績の話はしなかったのです。
まさお「うちの娘●●美大に受かったんですよ~~~~!!すっごいでしょ~!」
私「私も主人もそこ行ってたんです。」
まさお「えぇぇぇ~orz」
私「私、文章書いてて、一枚だけでいいからチェックしてもらえません?
息子の国語なんか手抜いていいから!」
まさお「はい、わかりました。」
夜の8時ころに商店街の真ん中でジャージ姿の中学生が輪になって、中にいる誰かをいじめていました。
暗いのでよくわかりません。
蹴るそぶりをしながら口々に、
「また、飲んだの?そんなに飲んでいいと思ってるの?」
「毎日飲んでるんじゃない?」
「明日学校遅刻するなよ、大丈夫か~!」
私「(中学の同級生が毎日お酒飲んでるんだ~)」
「酔っぱらうまで飲んじゃダメだって言ってるでしょ!」
「居酒屋から駅に向かって歩いたつもりなの?」
「ここ、逆だから。」
「しっかりしろよ!フラフラじゃねーか!」
「こんなに飲むなよ、いくつだと思ってるの?」
「ダメじゃん!歩けねえんじゃね?」
「しゃあねえな~、駅まで送ってやっから!」
「みんなでまさお、駅まで送るぞ~!」
「もう、先生、明日はまっすぐ帰るんだよ。わかった?」
まさおはとてもしあわせそうにニタニタしていました。