私立の次は国公立の受験です。
私がはM君の小論文を見ていましたので、試験当日の夕方、弟からメールが来ました。
弟「おねー、心配しとると思うで、M君のメール転送するで」
Fw:M君 「試験中は、メールしないと決めていたので、返信が遅くなって申し訳ございません。
緊張しましたけど、試験は手ごたえがあったので、嬉しいです。」
私はホッとして弟にメールを送りました。
私「ふざけろ!テンパー(弟)!
何で、試験中にメール送ったんや!
私ん時も試験中に何度も何度も何度も、メール送ったよな。
あかん!って言ったやろ?ちっとは、学習しろ!」
M君は合格しました。
また、合格発表の日に京都大学に合格したと言って、T君がお母さんと一緒に挨拶に来てくれました。
T君のお母さん「気の小さい、Tがここまでこれたのは、先生のおかげです。
ありがとうございます。」
弟「T君と出会えたのは、僕の誇りです。」
T君「僕は弁護士を目指します。
弁護士になったら先生のお役に立ちたいと思います。」
私「(テンパーが弁護されるようなことをするっていうことや。)」
三人はしばらく、泣いていたそうです。
国公立大学は全員合格しました。
この年の成績を報告します。
高校受験
全員第一志望合格
大学受験
第1志望合格者 70%
第2志望までの合格者 100%
全受験校合格者 50%
国公立大学合格者 100%
というとんでもない数字を弾き出しました。
でも、合格というのは、ここから巣立つということです。つまり別れを意味しているのです。
だから、生徒たちの幸せを願って、弟の気持ちを手紙にして、卒塾後に郵送しました。
卒塾後の方が、真心が届くと思ったからです。
たたき台は弟の気持ちを考えて私が作ったのですが、それでも弟は伝えたいことがあるので書き加えてほしいと言ってきました。
また、弟の本心なのかどうかを、何度も確かめ合いながら、そして本心にぴったりの表現を二人で見つけながら、練りに練って作成しました。
こんなふうにです。
弟「『夢は達成した時とよりも、暗闇のなかで夢を掲げられた時の方が、幸福は感じられると思います。』ってあるけど、そんなことない。同じや。」
私「いや、そんなことはない。私の体験からくる言葉や。
でもここは私達の持論やなくて、真実を伝えるところや。
よく考えて練り合わせしよ。」
弟「『問題を乗り越える時の幸福感、一歩ずつ近づける幸福感が味わえます。』ってあるけど、この幸福感をそれぞれ違う表現にしたほうがいい。」
私「そうやな、最初は爽快感かな?次は充実感かな?なんかかたくない?英語でおしゃれな単語ないの?」
弟「あかん、どっちもハピネスや。キャバクラになってまうわ。」
弟「最後の言葉に万感の思いを込めたい。『かけがえのない生徒たち』はどうや?」
私「たとえ本当の気持ちでも、生徒におおげさやと思われたら心に響かんかもしれんよ。
誇張表現の手紙やと思われたら台無しや。
それに音の流れが悪い。」
などなどです
そして完成したのがこの手紙です。
【贈る言葉】
俺の宝物たちへ!
君たちは、ダイヤモンドの原石です。磨けば必ず光り輝きます。
自分は思った通りの人間になる、と信じて、現実の努力に変えていってください。
必ず道は開けるでしょう。
転んでもただで起きるな!
必ず次なる飛躍のチャンスにしてください。
私が英語に関する夢を持ったのは、学生を終えようとした頃でした。
英語しか話せない亡き恩人と、もっと話がしたかった、もっと彼を喜ばせたかった、ちゃんと心を伝えたかった、と随分悔やんだことがありました。
それが、夢を持つきっかけでした。
何度も試験に落ちながら、チャレンジし続けました。
私は君たちを教えている今の自分が好きだ。
それは努力と失敗を積み重ねてきたからこそ、そう思えるのかもしれません。
家業の手伝いで、トラックを運転し、もがきながらも夢をあきらめず頑張りました。
努力はすぐに報われない事もあります。
しかし努力で人生は変えていける、時間はかかるかもしれないが、夢を持ち、それに向かって粘り強く生きていけば、最終的には達成できる、と私は信じています。
夢を持て!夢に向かって歩め!
夢は達成した時と同様に、暗闇のなかで夢を掲げられた時にも、幸福は感じられると思います。
また、夢に向かって努力している時は辛い事もありますが、問題を乗り越える時の爽快感や、一歩ずつ近づける充実感が味わえます。
努力する中でも幸福は味わえるのです。
さらに、人の役に立てたと実感した時には、自分の成功の時とはまた違った深い感動を得ます。
勉強は人の役に立つ人間になるための土台作りです。
役立つ人間になるために、深い感動を得るために、知性を伸ばすとともに、愛を深め、自分を律していきたいものだと私はつくづく思っています。
君たちも知性を高め、人間性を高め、深い感動を得て、幸せになってほしいと思います。
愛しい生徒たちよ、
幸せに、はばたけ!
(完)