1985年12月23日 午後3時30分ごろ、実家に緊張が走りました。
父「あかん!
おばあちゃんが、
息しとらへん!!」
その声に弟、母が集まり、人工呼吸をすることになりました。
まずは、弟から。
次は、母その次は父と順番を決めました。
弟が人工呼吸をやっていると、
母「テンパー(弟)、
それ、吸っとるの?吐いとるの?
ねえ、吸っとるの?吐いとるの?」
弟が答えないのは必死に人工呼吸をしているからなのですが、母は必死になっているので、聞こえてないのだと思ったそうです。
なので、だんだん声が大きくなり、どんどん耳に近づいて、最後は耳に触れるくらいのところで、叫んでいました。
母「ねえ、それ吸っとるの?吐いとるの?」
母「ねえ、それ吸っとるの?吐いとるの?」
母「何で聞こえんの?
吸っとるの?吐いとるの?
どっち?」
母「どうして聞こえんの?
はよ教えて!
ねえ、ねえ、
それ吸うんかね?吐くんかね?」
母「今、吸った?ねえ吸った?」
母「思いっきり吸うの?」
母「ねえ、吸うの?
思いっきりずーっと吸えばいいの?」
母「あれ?今吐いた!?
なんで吐いた!?」
母「吐いてもいいの?」
母「ねえ、何で吐いたの。
吐いてもいいの?」
母「吸ったり吐いたりするの?」
母「何で聞こえんの?
はよ教えて!」
母「吐いても吸っても、
どっちでもいいの?」
母「両方一緒にするの?」
母「ねえ、一緒なの?」
母「あれ?
今、吐いただけやね?」
母「両方するんやね?」
母「吐くのが先なの?
吸うのが先なの?」
母「吸ってから吐くの?」
母「ねえ、テンパー!
何で聞こえんの?
次私の番やで、
はよ教えてくれんと、
おばあちゃん、
死んでまううううーーー!!!
死んでまううううううう!!!」
永眠 (享年 81歳)
近くにいた父が教えるべきだったのに、父も吸ったらいいのか、吐いたらいいのか、自信がなかったそうです。
【10数年後の命日】
母「テンパーってすごく優しいんやよ。
おばあちゃんが亡くなる時、
泣きながら、何回も何回も、
おばあちゃんの口に
キスしとった んやよ。
おばあちゃんとキスしたい、
ってふつうは思わんよね?
あの子、ほんとに優しいわ。」
私「そりゃあ、テンパーのことやで、
白雪姫と間違えたんやわ。
白雪姫ってキスすると生き返るもんね。」
母「ああ、そういう事かね。
そうかもしれんね。
ほんとにそうかもしれん。」
私(なんで、白雪姫とおばあちゃんを間違えるんじゃ!間違えようがないやろ!!)
【それから、10数年後の命日】
私「おばあちゃんが亡くなる時、なんでテンパー、キスしたかわかった?」
母「わからんねー。そんな場面、見たことないねー。」
先日、酔っぱらっていた弟に聞いてみました。(2017/04/20)
私「テンパー、
おばあちゃんが亡くなる時、
人工呼吸しとったよね?
あれ吸っとったの?
吐いっとったの?どっち?」
弟「吸っとったと思う。」
よろしかったらこちらもお読みください。母の別の顔を書きました。